Teacher教員紹介

教授 (OTSUKA Makoto) 生産環境経営学部

  • 学位

    博士(農学)

  • 主な授業科目

    情報処理基礎、生産マネージメント実習Ⅰ・Ⅱ

  • 所属学会

    日本畜産学会、日本養豚学会

畜産の"なぜ"を突き詰める

①私は現在、学生とともに、生成AIを活用した卵の鮮度評価に取り組んでいます。冷蔵または室温で保存した卵を割ってスマートフォンで撮影し、卵黄の大きさや形などを画像から測定することで、鮮度を評価できるかを検証しています。

卵を割ってスマートフォンで写真を撮る。その写真を生成AIで解析する。身近になった生成AIを使えば、特別な装置や高度なプログラミング技術がなくても、画像の測定やデータ解析ができるようになってきたのです。この研究は、今春入学したばかりの1年生が取り組んでいます。

一方で、AIの結果をそのまま信じてよいわけではありません。実際の測定値と比較して結果が正しいかを確かめ、誤りがあればその原因を考えながら、撮影方法や解析方法、AIへの指示であるプロンプトを改善し、分析の精度を高めていくことが重要です。

この研究では、今後ますます利用する機会が増える生成AIについて、何に有効活用できるのか、また、どのような問題や限界があるのかを実際に確かめています。AIを活用した実験や実習を行い、その有効性と課題を自ら見極め、自分の考えや疑問を教員だけでなくAIにもぶつけながら、試行錯誤して課題を解決する力を養う。それが、令和の時代の大学で重要になる教育だと考えています。

②豚肉のおいしさを高める研究では、品種改良や飼料への機能性素材の添加に注目が集まりがちです。しかし、豚肉のおいしさは、品種や飼料だけで決まるものではありません。

養豚場から出荷された豚は、食肉センターでと畜・解体され、枝肉となります。その後、肉の加工・卸を担うプロが、枝肉の格付けだけでは分からない肉の品質や特性を目利きし、部分肉への加工、冷却・保存、熟成を経て、それぞれに適した小売店や飲食店へ届けます。

飲食店でも、筋切りや下処理、温度管理、加熱方法などの工夫によって、肉の柔らかさや肉汁、味は大きく変わります。生産から調理までのどこか一つだけを良くしても、最終的な肉料理が最良になるとは限りません。反対に、一つでも適切でない工程があれば、肉の価値を損なう可能性があります。

私は、豚の生産から消費者が食べるまでを一つの流れとして捉え、すべての工程を最も良い状態でつなげた「究極の豚肉」を追究したいと考えています。

すべての条件が最良の状態でつながった豚肉は、どのような味になるのか。それを科学的に明らかにし、いつか実際に味わうことが、私の夢です。

Messageメッセージ

これまでの畜産教育では、実際に家畜に触れ、飼養管理や生産技術を学ぶことが大切にされてきました。これからは、こうした現場での学びに加えて、身近になったAI技術を畜産の課題解決に活用できる学生を育てることも重要だと考えています。

生成AIの登場により、AIは一部の専門家だけが扱うものではなく、誰もが利用できる身近なツールになりました。しかし、AIはあくまでも課題を解決するための手段です。畜産の現場でAIを実際に試し、その結果を確かめ、何に役立てられるのかを考えることが重要です。

私は現在、学生とともに、生成AIを活用して卵の鮮度を評価する研究に取り組んでいます。その中で、AIを使うことにより、これまで難しかった画像からの測定や分析が可能になることを実感しています。一方で、AIの答えが常に正しいとは限らないことも痛感しています。

だからこそ、AIが生成した回答をそのまま信じるのではなく、専門知識や実際の測定結果と照らし合わせ、自分の考えや疑問をAIにぶつけながら、よりよい考え方や方法へと練り上げていくことが大切です。AIとの対話、そして何より人との対話を通じて、自ら考え、判断し、課題を解決できる学生を育てたいと考えています。

家畜から直接学ぶ実践力と、新しい技術を活用して課題を解決する力。その両方を身につけることが、これからの畜産を支える力になると考えています。