学位
博士(学術)
主な授業科目
農山村田園地域公共学 農林業史
主な加盟学会
日本民俗学会、日本地理学会、日本農業教育学会
これまでの仕事とこれからの展望
農山村の民俗文化 民俗誌を作る
農林業が作り出してきた景観、歴史、それは地域社会において根底をなしているものです。伝承を中心とした民俗文化を民俗誌から読み取ることでその地域の文化を知ることができ、民俗誌を記録することで、それを確認して発信することができます。天竜川中流域の水窪、佐久間の民俗文化を見ていきます。西浦田楽の世界、佐久間ダムがもらたしたもの、久根鉱山の歴史、金原明善の植林事業、などなど。今年は磐田市の敷地の民俗を調査して民俗誌を作ります。
祭りの文化
遠州地方、静岡県、全国には多くの祭りが伝承されています。磐田市見付には国の重要無形民俗文化財「見付天神裸祭」が旧暦に従って現在でも行われています。地域の地縁の共同体が限界を迎え、互助できない状況が生じています。祭りを行う共同体、それはこれからの地域社会で大きな役割を果たていくと思います。浜松祭り、掛塚まつり、森のまつり、島田の帯祭り、遠州大念仏、京都祇園祭、青森のねぶた祭り、などなど。本屋さんに『見付天神裸祭』(静岡新聞社)が並んでいます。
農業用水・遠州平野の農業史-水田稲作農耕・寺谷用水天竜川下流域の景観は水田稲作農耕がその基盤を作ってきたと言っても過言ではりません。寺谷用水は天竜川左岸下流域に今から400年以上も前に作られました。その創始者の平野重定は現在でも神として祀られ、その功徳が讃えられます。流域に住む人々は天竜川の水の恩恵に感謝しながら水田農耕文化を形成してきました。私たちの生活の中からその歴史文化を探りたいと思います。寺谷用水は世界灌漑遺産にふさわしい農業用水と思いませんか。
富士山は里山である
富士山はその文化的価値によって世界遺産になりました。価値は文化的なものだけではないでしょう。自然そしてその接点でもある里山に注目したいと思います。秀麗な富士山と人間との関係は一見穏やかで予定調和的にみえますが、ここ富士山麓における人びとの生きるための自然とのやりとりは、相当過酷なものでした。現在の、将来の農業、林業の展望につながる英知が読み取れます。『富士山は里山である』(農文協刊)
風と環境の民俗
窓を閉め切った室内の空間で生活できる我々の日常生活において、「風を感じる」感覚は、どんどん鈍化されてきています。「マゼの風が吹いてきた。」⇒初夏に向かい暖かくなってきた。「イナサの嫌な風だ。」⇒暴風雨になり、海が荒れる。「冷たいヤマセが来た。」⇒冷害が襲う。人びとが自然知をどのうに獲得し、有効に利用してきたのか、人間と自然環境との関係を探ります。『風と環境の民俗』(吉川弘文館刊)
私がみなさんに教え、学び合うことの本質的なものはフィールドワークからもたらされていると思っています。となりのじいさん・ばあさんの話しを聞く事、伝承文化、の学びを大切にして地域の民間伝承、まつり文化を知り、記録し、発信していきませんか。