主な授業科目
(短大)造林学、林業経営ほか (大学)造林学、木材生産システムほか
学会等
日本森林学会、日本緑化工学会ほか
略歴と仕事の紹介
静岡県磐田市出身(本学の地元です)。
高校から「登山」、大学では「探鳥(バードウォッチング)」にも高じ、山岳林を通じて森林・林業の世界を志す。
東京農工大学大学院農学研究科林学専修。
静岡県庁に入庁し、主に森林・林業の試験研究に携わる。その間、森林・林業行政(森林土木、森林整備、林業普及等)など現場実務も担う。
1仕事の紹介(林木の育種)
林業樹種(スギ、ヒノキ、クロマツなど)には品種(集団品種や家系品種等)があります。林木の伐期齢(伐り旬)は40年程度ですが、その寿命は数百年と長く、林木の品種改良には長期間を要します。
1990年代初頭に作出した家系品種(苗木)の中から20年余を経て、高成長、高強度、少花粉を併せ持つ新品種「エリートツリー」が誕生しました。これにより、森林の成長量は従来の2倍以上と推定されるなど、「森林の価値」向上が期待されます。
・静岡県産スギ精英樹交配家系の組合せ能力の推定(Ⅰ)~(Ⅲ)、日林会論文集108、1997他
・静岡県産スギ精英樹クローンの特性評価に関する研究(Ⅰ)~(Ⅴ)、静岡林技セ研報35、2007他
林木育種は「造林学」講義で紹介します。
2仕事の紹介(再造林技術のイノベーション)
木材生産では、伐る(利用する)、植える、守り育てる、といった循環的営林行為が持続可能な森林経営には必要です。伐る技術は高性能林業機械や高密路網などにより進展しましたが、植える技術は半世紀以上変わりませんでした。
そこで、苗木づくりから改良を始め、従来の裸苗(根系が露出した苗)と異なるコンテナ苗(根系が培地と一体化した苗)の生産とその植付け技術の開発を行いました。その結果、本県ではコンテナ苗の通年植栽がほぼ可能で、植付け効率は従来の1.5倍以上あることが実証されました。本技術は県下各地で展開されている主伐再造林事業に採用されています。
・スギおよびヒノキコンテナ苗の冬期植栽、中部森林研究63、2015
・コンテナ苗の植付けに用いる改良型ディブルの試作とその性能評価、日緑工誌42、2016 他
施業技術は、「造林学」及び「木材生産システム」の講義で紹介します。
3仕事の紹介(荒廃森林の再生)
スギ、ヒノキ人工林では、間伐等の適切な施業が行われないと下層植生が消失して荒廃した過密人工林となり、森林の土壌保全機能や生物多様性保全機能等が低下します。そこで、それら荒廃森林における強度の抜き切り(列状間伐等)効果を検証した結果、短期的に下層植生が侵入し、土壌流出の低減、生物種数の増加など森林機能の回復が認められ、施業の有効性を確認しました。
本研究は静岡県森林づくり県民税で実施されている「森の力再生事業」の効果検証に反映されるなど、県民への情報提供等に貢献しています。、
・抜き切りが広葉樹の天然更新に及ぼす影響(Ⅰ)~(Ⅳ)、静岡農技研報6、2013 他
・スギ・ヒノキ人工林の抜き切りが森林の表土移動に及ぼす影響(Ⅰ)、中部森林研究60、2012
森林の多面的機能は、「造林学」の講義等で紹介します。
4森林・林業の普及
国民共有の財産である森林には多くの税金が投入されています。これは国土保全、生物多様性保全、温暖化ガス吸収など様々な公益的機能が森林にあるからです。
農山村や都市に暮らす方、園児から高齢者等、全ての国民に「森林の恩恵」を未来永劫享受していただくためには、「森林の価値」を啓発し、日本の森林を守り、育て、利用する林業・木材産業を振興していくことが重要で、それには多くの森林技術者が必要です。
本学では、そのような将来の担い手を育成していきます。
「好きこそものの上手なれ」、森林・林業を志し、その道を生涯にわたって歩むには、森林(山)の魅力を体感し、森林の摂理を学び、森林の虜になることが肝要と考えます。 学生の皆さん、「実学の府」である本学の理念「耕土耕心」を抱き、「気宇壮大」、「勇往邁進」に、森林・林業の未来を切り拓いて行きましょう。