学位
農学博士
主な授業科目
畜産経営、野生鳥獣管理・利用論
野生鳥獣との共生・農地の畜産的活用を考える
農林業に深刻な被害を与えているシカやイノシシ。毎年50万頭以上が駆除され、その多くが捨てられています。なぜ、シカやイノシシは増え、農林業被害は増加したのか、その科学的な探求と、解決法を考えています。特にシカの資源的な活用を進め、嫌われ者の害獣であるシカを地域の宝(資源)として地域活性化につなげるプロジェクトを、これまで10年にわたって静岡県富士宮市などで実施してきました。具体的には、
1. シカと人との棲み分け・共生のための活動
① シカの農林業被害調査(センサーカメラやコドラート調査)
② シカの棲める森づくり(間伐や植林プロジェクト)
③ 耕作放棄地の再生(ブタ、ウシ、ヤギの耕作放棄地放牧)→馬頭農村塾
2.シカの資源としての活用方法の探求
①シカ肉の特性に関する調査
②シカ肉の消費拡大のための商品開発及び食味試験(鹿ソーセージなど)
③シカ皮の利活用(自分で鞣してみようプロジェクト)
④シカ利用によるエコツアー(環境教育プロジェクト)
3.一時養鹿(シカの衛生的、安定的な資源活用)の試み
(1)生体捕獲
(2)シカ飼料としての未利用資源の活用
(3)マーケティングの検討
今後も富士宮市などで実際にワークショップなどを行い、シカ問題の理解促進と、駆除されたシカの全身の資源活用によって地域活性化に資することを目標としています。
食料自給率が37%と先進国で最も低い日本ですが、使われずに放置されている農地が埼玉県の広さと同じといわれています。なぜ、貴重な農地が使われずに放置されているのか、その原因と解決法を考えています。特に、農地の畜産的利用―畑や水田での飼料作や放牧が重要と考え、その実践を栃木県などで行ってきました。有志とNPO馬頭農村塾を作り、長年放棄されてきた農地や山林約10haを10年間にわたって再生しています。具体的には、ヤギの耕作放棄地での放牧による再生と畑利用、再生水田での稲作、耕作放棄地でのブタとウシの同時放牧などです。また、山林の整備活動も行っています。毎年、田植え~収穫作業などの実習も学生や生徒と一緒にやっています。