学位
博士(農学 岐阜大学)
主な授業科目
6次産業化実践論
食文化論
食品加工実習
農林産物の新たな価値の創造のための技術と方法を考察します
農業のプロフェッショナルになるためには、「農の世界全体を考察する力」を身につけることが求められます。つまり、農業・林業・畜産に必要とされる知識や技術だけでなく、これからの時代は、加工・流通、販売や経営までを視野に入れ活躍できる人材が必要になります。それを実践するためには、「農の周辺の世界」に積極的に関わり、農山村地域の環境や伝統文化を守りながら地域と共に学ぶことが大切になります。
1.農芸品の加工
2.6次産業化の実践
3.食文化
4.農と食の連携
等をテーマとして教育と研究を進めていきます。
1.農芸品の加工
育種や栽培をして天塩にかけた育てた「農芸品」。そのまま食材として消費するのはもちろんですが、加工という工程を加えるとさらに付加価値をつけることができます。食品加工実習では、身近な加工食品の製造工程や加工原理について学びます。
2.6次産業化の実践
農林漁業、製造業、小売業等が連携して地域資源を活用した新たな価値の創造を作っていく取り組みについて、具体的な事例を調査・研究し、その方向性や可能性について考えていきます。
3.食文化
食文化は、作物そのものだけではなくその周囲との関わりから形成されます。例えば、在来作物は、生産者自らたねとりを行い世代間で継承され、特定の行事に食されるために栽培されていることが多くあります。伝統行事と作物の関係から特別な献立が生じ、地域で食文化となっているわけです。
その昔、田植えは今とは比較になりないくらいの重労働でした。そこで、笛や太鼓を鳴らし囃子にのって歌い踊ることにより、辛い田植えが楽しいイベントと化したと伝えられるれています。つまり、イネ(農)と鼓(能)には密接な関係があることがわかります。
医療が発達していない時代、人々は病や災厄から命を守る手段の一つとして「野菜や果実を用いた供養・祈願」を行っていました。新型コロナウイルスが猛威をふるっている現在、このような事例を調査・研究し、作物と食文化の関係を紐解いていきます。
4.農と食の連携
栽培された作物をどのように加工して流通させ、消費者に届けていくか、については、従来「農」の分野ではあまり注目されていませんでした。一方で、「食」の世界では、作物(食材)の栽培状況や生産者への関心も十分とは言えないいところがありました。「農」と「食」がさらに連携を深めれば、新しい価値か創造され、豊かな世界が生まれるのではないでしょうか。
どのような連携ができるのか、その可能性を具体的に示していきます。
主要業績
・基礎から学ぶ食品化学実験テキスト,共著,㈱建帛社(平成26年)
・コンパクト食品学,共著,朝倉書店(平成27年)
・種皮褐色遺伝子Rcが玄米の抗酸化能に及ぼす影響,共著,育種学研究(9巻3号)97-102貢
・ Comparison of the free amino acid content and certain other agronomical traits of germinated and non-germinated brown rice in monocultured and mixed plantings,共著,SABRA JOURNAL of BREEDING and GENETICS (39巻2号)107-115貢
・Disclosure of the “Fairy”of Fairy-Ring-Forming Funfus Lepista sordida,共著,CHEM BIO CHEM (11巻)1373-1377頁
・Mechanism for the detoxification of aluminum in roots of tea plant (camellia sinensis (L.) Kuntze),共著,PHYTOCHEMISTRY(69巻) 147-153貢
・アルミニウムに応答したチャ(Camellia sinensis L.)の根からのシュウ酸とカフェインの放出,共著,無菌生物42(2)73-76頁
・Tea plant (Camellia sinensis L.) roots secrete oxalic acid and caffeine into medium containing aluminum.共著,Soil Science and Plant Nutrition (57) 796-802頁
・Effect of late nitorogen fertilizer application on free amino acid content in brown rice and germinated brown rice,共著,静岡英和学院大学紀要 第14号167-180頁
・ 15年間継続した水稲有機栽培の生育、収量および食味値,共著,日本作物学会紀事85巻3号 274-281頁
・ Effect on feed costs and growth of the red sea bream pagrus major with the addition of discarded kelp to the diet,共著,JAPANESE SOCIETY FOR AQUACULTURE SCIENCE64(4) 407-412頁
・緑肥レンゲ(Astragalus sinicus L.)を17年間連用した水稲収量とその変動要因,共著,日本作物学会記事82(4) 353-359頁
・食育活動における栄養士と保育士の連携に関する研究,共著,静岡英和学院大学紀要 第15号 96-106頁
・栄養士養成施設における食と農の連携に関する研究(Ⅰ),共著,静岡英和学院大学紀要 第16号 99-108頁
・疫病と食-「野菜を用いた供養・祈願」からの考察-,単著,和食文化研究 第三号 58-80頁
前任校の短大では、栄養士養成にかかわる仕事をしておりました。それ以前は、助産師として大学病院や地域で働いた経験があります。ところで、農学の「農」は、生命と同時に生活の意味も合わせもっています。「農」とは、生命現象と生活に不可欠な学問・産業であるわけです。
今までに医療や食の分野で培った知識や経験を、本学の教育・研究でも生かしていきたいと考えています。
学生のみなさん、志は大きく持ちましょう。そして一緒に学んでいきましょう。みなさんの「やる気」に期待します。それに応えるために、最大限のサポートをいたします。
充実した4年間あるいは2年間になることを願います。